高級ネクタイの定義

高級ネクタイとは、文字通りに言えば「高級」すなわち「等級や品質等が高い」ネクタイのことです。より一般的には、普通のネクタイと比較して高品質であり、富裕層や高所得層向けの価格帯にあるネクタイと定義できます。特徴には、生地や製法が優れていること、ブランド性があること、その商品がいわゆる高級品としてポジショニングされていることなどが挙げられます。

以上はもちろんこの語に対する定義の一つであって、絶対的な定義や客観的な基準が存在するわけではりません。それでも、紳士服量販店で1本2,000円で売っているポリエステル100%のネクタイは明らかに違いますし、キートンのセッテピエゲ(7つ折り)は明らか該当します。両極端については、議論の余地なく高級ネクタイかそうでないかの分類が可能です。

高級ネクタイ 当店取り扱いの高級ネクタイ

高級ネクタイとそうでないネクタイの境目

それでは、とある量販店の最高グレードの品、シルク100% 1本9,000円のネクタイはどうでしょうか。商品には、素材や製法にこだわりを持って作られた高品質なネクタイである旨の説明が付いています。また、響きのいいイタリア語のブランド名も付いてます。

思うに、この商品を高級ネクタイと捉えるか否かは、個人の主観と価値観次第ではないでしょうか。量販店の品ということで高級さを感じない人もいるでしょうし、最上位モデルかつブランド品ということで高級さを感じる人もいるでしょう。また、9,000円という商品価格がラグジュアリー・ネクタイとして相応しいかについても、人によって認識は異なるでしょう。普段2,000円のネクタイを買っている人にとっては9,000円のネクタイは十分に高級なはずです。一方、ハイブランドのネクタイ以外は締めない主義の人には9,000円のネクタイは安物と写るはすです。

「高級」は人によって程度が変わりうる主観的・相対的な言葉で、商品が何を持って高級品とされるかについては絶対的・客観的な基準はありません。「高級車」におけるロールス・ロイスや「高級時計」におけるパテック・フィリップなど、最高峰の存在は誰にとっても高級です。また、ベンツやロレックスなど、ハイエンド向けの品は多くの人にとって「高級」の修飾がしっくりときます。しかし、ピンからキリまでのどこから高級が付くかについては、そこに明確な境界線は存在しません。高級ネクタイについても同様のことが言えるのではないでしょうか。

ネクタイショップのいう高級ネクタイとは

当店は「高級ネクタイ」をキーワードにネット通販をしておりますが、「一流ブランド」のネクタイという意味でこの語句を使用しております。「人気ブランド」や「有名ブランド」全般まで間口を広げていないのは、有名人気ブランドのネクタイがラグジュアリーなものとは限らないからです。敢えて一例を挙げるとすれば、ブルックス・ブラザーズ [Brooks Brothers] でしょうか。200年の歴史を誇り人気も知名度も抜群なこの紳士服ブランドは、本国アメリカで概ね$50~$115のネクタイを中心に販売しています。上位モデルにイタリア産シルク生地を使用するコスパ申し分ない魅力的なラインアップですが、ラグジュアリー・ネクタイと言い切れるかという点に関しては微妙なラインにあります。ネクタイショップとしましては、多くの人が高級ネクタイとして認めるブランドを優先的に取り揃える方針でおります。

高級ネクタイの値段

取扱いブランドを決めるにあたって、当ショップでは新作定価15,000円以上であることを一つの基準としております。価格を基準とするのは、それがネクタイの価値全てを表すわけではないにせよ、その商品の高級度を表すもっとも分かり易くかつ客観的な指標であるからです。実際に、ネクタイの新作価格はブランドの格を良く表しています。一流ブラントでも下位の方、例えばアルマーニのセカンドブランドであるエンポリオ・アルマーニ [Emporio Armani] は1万円代後半。エルメス [Hermès]、グッチ [Gucci]、プラダ [Prada] などハイブランド製で約2万5千円~。ブリオーニ [Brioni]キートン [Kiton] といった最高級紳士服ブランドになると約3万円~、といった具合です1

上の例にあるように、高級ネクタイの値段は15,000円~35,000円ぐらい、ということになります。もちろん、世の中には10万円を超えるネクタイも存在しますが、大概の商品はこの価格帯に収まるのではないでしょうか。高級ネクタイは幾らかという問いに、そのものずばりの金額で答えるとしたら約2万5千円というのが一つの回答と言えます。なぜなら、一流ブランドの中でも特にハイエンドのブランドの多くがこの水準の上下数千円以内に開始価格を設定しているからです。既にハイブランドの例として挙げた3ブランドの他にも、紳士服ブランドの代表とも言えるエルメネジルド・ゼニア [Ermenegildo Zegna] や、デザイナーズブランドの代表とも言えるジョルジオ・アルマーニ [Giorgio Armani] なども約2万5千円が開始価格です。あたかも、超えてはいけない一線の様に存在する価格水準です。開始価格でこの水準を超える事が許されているのは、ビジネスファッションの分野で特別な地位を築くことに成功したブリオーニとキートンだけとも言えます。

もちろん、それぞれのブランドのネクタイがその価格に見合う価値を持っているかについては、消費者の判断に委ねられることになります。そのブランドの品であること自体に価値を感じる人もいれば、品質に対して価格が高すぎると感じる人もいるでしょう。ただ言えることは、そのブランドが一流ブランドで在り続けているという事実は、多くの人がそのブランドの商品に価値を認めていることに他なりません。

高級ネクタイ

ネクタイを手掛ける一流ブランド

多くの一流ブランドがネクタイを販売しています。当たり前ですが、メンズアパレルに力を入れているブランドがネクタイを品揃えしている可能性は高く、メンズスーツを取り扱うブランドは間違いなくネクタイも販売しています。そして、元々婦人用バッグや婦人服を専門としていたブランドが売上拡大のため、紳士服のコレクションを始めるというパターンがあります。典型的な例はプラダ [Prada] です。1913年に革製品店として創業したレザーブランドのプラダは、1989年にレディースウェアでアパレル分野に進出し、その後の1994年にメンズウェアのコレクションをスタートしています。こういった商品カテゴリーの拡大は、ラグジュアリー・ブランドに広く見られる事業戦略です。ある意味「習性」と言っていいかもしれません。多くのブランドが創業時の商品カテゴリに留まらず、レザー、アパレル全般、香水、アイウェアなどファション関連カテゴリのフルラインナップを持つ方向を目指します。その結果、女性ものバッグのイメージが強いブランドでも、実はネクタイも置いているという状況となっています。

一方、その対極にはネクタイを専業ないしは主力商品とするメーカーがあります。多くはイタリアにある小規模な工房ですが、主力製品なだけに高級ネクタイと呼ぶにふさわしい品質の商品を製造しています。知る人ぞ知る、ネクタイ業界の隠れた一流ブランドと言って差し支えないでしょう。

高級ネクタイを手掛けるブランドの分類

ネクタイ分野における一流ブランドを、その出自や主力商品に注目すると、下記4つにカテゴリーに分類することができます。今回はそれぞれのカテゴリーについて簡単に紹介し、次回以降のブログにて、この分類に沿う形で個別ブランドを紹介してゆきます。

  • ➀高級紳士服ブランド:メンズスーツを主力製品とするブランド。キートン [Kiton]、ブリオーニ [Brioni]、エルメネジルド・ゼニア [Ermenegildo Zegna]、カナリ [Canali] など。
  • ②デザイナーズブランド:著名デザイナーの名前を冠しアパレル全般を手掛けるブランド。ジョルジオ・アルマーニ [Giorgio Armani]、ドルチェ&ガッバーナ [Dolce&Gabbana] など。
  • ③ハイブランド:歴史に裏付けされた高級ブランド。当分類では、特に女性向けのイメージが強いハイブランドの意。エルメス [Hermès]、グッチ [Gucci]、プラダ [Prada] など
  • ④高級ネクタイメーカー:ネクタイを主力製品とするメーカー・工房。マリネッラ [E.Marinella]、フランコバッシ [Franco Bassi]、ビジ [Bigi]、マタビシ [Mattabisch] など

➀高級紳士服ブランド

このカテゴリーを紹介するにあたりまず挙げるべきは、ブリオーニ [Brioni]キートン [Kiton]。イタリア・ナポリ創業の既製紳士服業界のツートップです。意外なことに婦人服コレクションもありますが、何と言っても主力商品はメンズスーツです。高級モデルには軽自動車が買えてしまうぐらいの値札が付いてます。これらに続くのが、エルメネジルド・ゼニア [Ermenegildo Zegna] に代表される高級紳士服ブランドです。ネクタイは主力商品であるスーツの近接カテゴリであるため、どのブランドも力をいれて展開しています。ブランドにもよりますが、上位ブランドのスーツはReady-to-wear1着30万円~60万円です。ネクタイはそれらに釣り合うアクセサリーとして用意されるので、その品質は自ずと担保されます。国際展開に成功しているブランドも多く、世界のエグゼクティブ御用達のスーツブランド群と言えます。メンズブランドであるため、女性にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、紳士服業界のハイブランドと言える面々であり、同時にラグジュアリー・ネクタイ市場のメジャープレイヤーです。

②デザイナーズブランド

ドルチェ&ガッバーナ Dolce & Gabbana の高級ネクタイ ドルチェ&ガッバーナのネクタイ

デザイナーが自ら企画・デザインした服飾品を自分の名前をブランド名にして販売するブラントのことです。既に死語となった「DCブランド」と関連する語であり、最近はあまり聞かない気もしますが、アルマーニドルガバなどのファッションブランドを指す語です。定義からすると、一流ブランドに限定して使用されるわけではないようですが、著名ブランドを指す文脈で使用されることが多いのではないでしょうか。

このカテゴリーに顕著にみられる特徴の一つに、ディフュージョンラインの展開が挙げられます。ディフュージョンラインとは、販売拡大と新規顧客開拓のために、ブランドのテイストを残しつつ、より幅広い顧客層に向けて販売する商品ラインのことです。この取り組みは、別ラインとはいえメインブランドの名の下で、価格と品質を抑えた廉価版商品をで出すことに他なりません。その分、高級感が薄れた感のあるブランドも見受けられます。一方、一流ブランドとしてのステータスを守りつつ、複数ライン展開に成功しているブランドもあります。

デザイナーズブランドの多くは、メンズとウィメンズの両面でアパレル全方位展開しています。紳士服への力の入れようは様々ですが、中には紳士服ブランド顔負けのブランドがあります。アルマーニです。ファーストラインのジョルジオ・アルマーニ [Giorgio Armani] は高級スーツの代名詞ともいえるブランドであり、セカンドラインのエンポリオ・アルマーニ [Emporio Armani] も紳士服のコレクションを持ちます。さらに、2017年まではビジネスラインのアルマーニ・コレツィオーニ [Armani Collezioni] もあり、3段構えの陣容を誇ってました。前述の紳士服ブランドのネクタイが優れているのと同様の理由で、紳士服に注力するデザイナーズブランドのネクタイは見ごたえあります。ラグジュアリー・ネクタイマーケットにおいて一定の存在感を放っています。

③ハイブランド

「ハイブランド」とは、数ある優良ブランドの中でも特にハイクラスなブランドを指す言葉です。より具体的には、上流階級を顧客に最高レベルの品質と評判を守り続けてきたブランドや、パリコレクション・ミラノコレクションなどを通してファッション界を牽引してきたブランドがハイブランドと呼ばれます。真の高級ブランドのことだとも言えます。上で高級紳士服ブランドとしたものも含む語でが、そうは言ってもやはりラグジュアリー市場は女性ものが中心、ハイブランドと言えば、その多くは女性向け高級ブランドとなります。

ハイブランドのモノ作りに共通して見られる特徴は、デザイン、素材、製造工程など品質のあらゆる面における徹底的なこだわりです。高級ネクタイを作るのはハイブランドだけではありませんが、ハイブランドの作るネクタイは高級ネクタイと言えるでしょう。例えそれがレディースのイメージしかないブランドのネクタイだとしても、ハイブランドの名を冠する以上は高級品と呼ぶに相応しいものであるはずです。このカテゴリーのブランドは、特に、女性が自分のセンスで男性にプレゼントするネクタイを選ぶというシチュエーションに最適と言えます。

④高級ネクタイメーカー

ネクタイを語る上で避けて通れないのが、マリネッラ [E.Marinella] に代表されるイタリアのネクタイブランド達です。ナポリ、フィレンツェ、ミラノ、コモといった都市に根付くこれらのブランド、多くは家族経営のネクタイ専業工房です。世界最高のネクタイとも称されるマリネッラを除くと、ビジネスマンの間でも知名度は高くはありませんが、ネクタイマニアにはたまらない顔ぶれです。知る人ぞ知るブランドであるため、プレゼント用途で購入する際には、贈る相手を選ぶブランドと言えるでしょう。

終わりに

当記事後半では、高級ネクタイを手掛けるブランドを4つに分類し、それぞれのカテゴリーについて簡単に紹介しまた。次回以降のブログでは、個別のブランド毎にその歴史や展開するネクタイラインナップの特徴について紹介していきます。


脚注

  • ※1 [本文へ]: 記載の新作価格は2018年9月時点、各ブランド公式ストア(日本)で調べたものです。